薬事情報

1999/10/29原子力関連施設事故でのヨウ素剤の服用について
1999/08/13平成11年8月13日付薬価基準収載医薬品情報の概要
1999/07/08
平成11年7月9日付薬価基準収載医薬品情報の概要(日薬ホームページへのリンク)
1999/08/30
医薬品等安全性情報No156(医薬品情報提供ホームページへのリンク)
1999/06/30
医薬品等安全性情報No155(日薬ホームページへのリンク)




この度の、原子力施設事故では、ヨウ素剤について多数のご質問が寄せられました。ヨウ素剤については、すでに、動燃アスファルト固化処理施設事故の時に、会報48号(97年4月)薬事情報だより(P7)に掲載いたしましたが、一部改編し再度お知らせいたします。            
薬事情報室

Q:原子力施設での臨界事故があった場合、どうしてヨウ素剤を服用するのか
A:先月、東海村の原子力施設において臨界事故が発生し問題となったが、臨界事故が発生した場合、ヨウ素、キセノン、クリプトン等、種々の放射性物質が放出されると言われている。この中で、放射性ヨウ素(131I)は、放出される割合の最も高い放射性物質であり、施設を破壊してしまうほどの事故の場合、気化して大気中に広範囲に拡散しやすい上、呼吸や飲食により体内に吸収されやすいため、内部被曝を起こす物質として特に注目されている。しかし、今回の事故では施設が破壊されなかったことや、ウランの量が少なかったことなどから、放射性ヨウ素は発生したが大気中に放出されたのは極僅かであった。10月5日にJCO周辺の雑草から131Iが最大0.037Bq/g検出されたが、これを食べると仮定しても実効線量当量は0.00036mSv(0.036ミリレム)となり、人の年間線量限度1mSvの約3000分の1ほどであった。
 本来、ヨウ素は、甲状腺ホルモンの構成成分として生体に必須の微量元素であり、体内には約25mgが存在する。また、海草に多く含まれ、1日の摂取量は成人で約1.5mgとされている。一方、甲状腺は、ヨウ素を取り込み蓄積するという機能があるため、原子力施設の事故で環境中に放出された131Iが体内に吸収されると、甲状腺で即座に甲状腺ホルモンに合成され、甲状腺組織の中で放射能を放出し続ける。その結果、放射能による甲状腺障害が起こり、晩発性の障害として甲状腺腫や甲状腺機能低下症を引き起こすとされている。
 これらの障害を防ぐためには、被曝する前に放射能をもたないヨウ素を服用し、甲状腺をヨウ素で飽和しておく必要がある。こうすることにより、131Iにより内部被爆しても甲状腺には取り込まれず予防的効果が期待できる。その際、ヨウ素剤の効果は投与する時期に大きく依存するとされており、表に示すとおり被曝直前に摂取した時に効果が最大で、時間が経過するとその効果は薄くなる。

100mgのKIを投与したときの131I摂取防止率
投与時期131I摂取防止率
被曝24時間前投与
約70%
被曝12時間前投与約90%
被曝直前投与約97%
被曝3時間後約50%
被曝6時間後防止できない


 また、ヨウ素の吸収は、食後で30分後、空腹時で5分後から始まるとされ、一旦甲状腺ホルモンに取り込まれ有機化されると、体内に長期間貯留するため、放射性ヨウ素に被爆する前に、ヨウ素剤を服用することが重要である。
 予防投与量としては、1日1回服用し成人でヨウ化カリウム130mg(ヨウ素として100mg)、1歳以下の乳幼児でヨウ化カリウム65mg(ヨウ素として50mg)とされ、服用期間としては、事故の影響度にもよるが、3〜7日程度と考えられる。なお、ヨウ化カリウムの入手が困難である場合は、市販のルゴール液(ヨウ化カリウムとヨードを2対1の割合で水に溶かしたもの)や、ヨウ素レシチン、または、試薬のヨウ化カリウム等を使うことも可能である。
 ヨウ素の副作用としては、甲状腺障害(腺腫、機能失調)、ヨウ素アレルギー(発熱、関節痛、蕁麻疹等)、耳下腺炎等の報告があるが、一般には1回130mgのヨウ化カリウムの経口投与では、たいした副作用は発生しないとされている。しかし、食物からの摂取量が通常1日1.5mgであることからすると、被曝線量が5レム以下の場合は使用しないほうが良いとされ、逆に50レム以上の場合は積極的に使用することが望まれている。
 現在、茨城県では、下記自治体施設や保健所に、夜間人口の1日分(244,000人×2錠)と、原子力医療センターに6日分のヨウ化カリウム錠を分散配置している。

保管場所

保管数量(50mg錠)

東海村役場
64,000
ひたちなか市生涯保健センター
120,000
ひたちなか保健所
10,000
日立市南部支所防災倉庫
60,000
日立保健所
104,000
常陸太田保健サービスセンター
24,000
那珂町役場
24,000
大洗町消防本部防災倉庫
42,000
水戸市常澄保健センター
12,000
鉾田保健所
18,000
茨城町役場(薬品室)
10,000
小 計
488,000
原子力医療センター(国立水戸病院内)
2,928,000
合 計
3,416,000

[参考]
1) 学術 放射能汚染 ヨウ素を:高橋保志、道薬誌3 (6) 11 (1986)
2) 放射能とヨウ素:ドラッグビュー(山口県 薬) (23) 6 (1986)
3) チェルノブイリ被曝のヨード剤による予防:石井淳、日本医事新報3496 136 (1991)
4) 原子力事故緊急時医療活動マニュアル(その5):菅野商会医薬品情報 (17) 42 (1988)
5) 原子力事故緊急時医療活動マニュアル(その6):菅野商会医薬品情報 (20) 57 (1988)



平成11年8月13日付 薬価基準収載医薬品情報の概要

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カバサール錠0.25、1.0mg (キッセイ)

ドパミンD2受容体刺激を有するパーキンソン治療剤
【成分】カベルゴリン
【適応】パーキンソン病
【用法】1日量0.25mgから始め、2週目には1日量を0.5mgとし、以後経過を観察しながら、1週間毎に1日量として0.5mgずつ増量し、維持量(標準1日量2〜4mg)を定める。いずれの投与量の場合も1日1回朝食後経口投与。
【薬価】0.25mg 1錠 128.90円
1mg 1錠 448.70円



カルタン錠500 (メルク・ホエイ)

高リン血症治療剤
【成分】沈降炭酸カルシウム
【適応】下記患者における高リン血症の改善:保存期及び透析中の慢性腎不全患者
【用法】1日3.0g(本剤:6錠)を3回に分割して、食直後、経口投与。
【薬価】500mg 1錠 9.40円



スターシス錠30、90mg (山之内)
ファスティック錠30、90 (ヘキスト・マリオン・ルセル)

D-フェニルアラニン誘導体を有する糖尿病剤
【成分】ナテグリニド
【適応】インスリン非依存型糖尿病における食後血糖推移の改善(ただし、食事療法・運動療法を行っている患者で十分な効果が得られない場合、又は食事療法・運動療法に加えてα−グルコシダーゼ阻害剤を使用している患者で十分な効果が得られない場合に限る)
【用法】1回90mgを1日3回毎食直前に経口投与。なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら1回量を120mgまで増量。
【薬価】30mg 1錠 28.20円
90mg 1錠 70.80円



セロトーン錠10mg (日本たばこ)

5-HT3受容体拮抗作用を有する制吐剤
【成分】塩酸アザセトロン
【適応】抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)
【用法】1回10mgを1日1回経口投与。1回15mgを超えないこととする。
【薬価】10mg 1錠 2,021.70円



ゾフランシロップ (グラクソ・ウエルカム、三共)

5-HT3受容体拮抗作用を有する制吐剤
【成分】塩酸オンダンセトロン
【適応】抗悪性腫瘍剤(シスプラチン等)投与に伴う消化器症状(悪心、嘔吐)
【用法】小児にはオンダンセトロンとして1回2.5mg/m2、1日1回経口投与。最大1回4mg。また、効果不十分な場合、同用量の注射液(2.5mg/m2)を投与できる。
【薬価】0.05% 1ml 421.40円



ドラール錠15、20 (吉富)

長時間型ベンゾジアゼピン系睡眠導入剤
【成分】クアゼパム
【適応】1.不眠症 2.麻酔前投薬          
【用法】1.不眠症:1回20mgを就寝前に経口投与する。1日最高量は30mg。
2.麻酔前投薬:手術前夜、1回15〜30mgを就寝前に経口投与。1日最高量は30mg。
【薬価】15mg 1錠 159.80円
20mg 1錠 189.90円



ルプラック錠4、8mg  (吉富)

スルホニルウレア系のループ利尿剤
【成分】トラセミド
【適応】心性浮腫、腎性浮腫、肝性浮腫
【用法】1日1回4〜8mgを経口投与。
【薬価】4mg 1錠 33.50円
8mg 1錠 52.20円



ニプラノール点眼液 (テイカ)
ハイパジールコーワ点眼液 (興和)

α1、β遮断作用を有する眼圧治療剤
【成分】ニプラジロール
【適応】緑内障、高眼圧症
【用法】1回1滴、1日2回点眼。
【薬価】0.25% 1ml 575.50円



リボスチン点鼻液 (ヤンセン協和)

抗ヒスタミン作用を有する点鼻薬
【成分】塩酸レボカバスチン
【適応】アレルギー性鼻炎
【用法】1日4回(朝、昼、夕方及び就寝前)、1回各鼻腔に2噴霧(レボカバスチンとして0.05mg)ずつ噴霧吸入。
【薬価】0.025% 15ml1瓶 1,111.00円



アイソボリン注25mg (武田)

ホリナートカルシウムl体を純化したフルオロウラシルの抗腫瘍効果増強剤
【成分】レボホリナートカルシウム
【適応】レボホリナート・フルオロウラシル療法 胃癌(手術不能又は再発)及び結腸・直腸癌に対するフルオロウラシルの抗腫瘍効果の増強
【薬価】25mg 1瓶 3,789.00円



ジェムザール注 (日本イーライリリー)

シタラビン(ara−C)類縁代謝拮抗剤に分類される抗悪性腫瘍剤
【成分】塩酸ゲムシタビン
【適応】非小細胞肺癌
【薬価】200mg 1瓶  6,587.00円
1g 1瓶  31,076.00円



シンビット注 (三井)

K+チャンネル遮断作用を有する抗不整脈剤
【成分】塩酸ニフェカラント
【適応】生命に危険のある下記の不整脈で他の抗不整脈薬が無効か、又は使用できない場合:心室頻拍、心室細動
【薬価】50mg 1瓶 6,220.00円



レボビスト (日本シェーリング、田辺)

超音波用造影剤
【成分】ガラクトース・パルミチン酸混合物
【適応】心エコー図検査における造影、ドプラ検査における造影、子宮卵管エコー図検査における造影
【薬価】2.5g 1瓶(溶解液付) 12,934.00円