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今夜の番組チェック


「幻影城ノベルス」未刊行リスト


「骸草紙」 小林久三
茨城県古河市の旧家が取り壊されたとき、無数の白骨死体が発見された。郷土史研究グループは主宰者の辻本を中心に、その白骨が、江戸中期、藩医だった河口信任が死体解剖を行ったあと埋葬したものであることを突きとめた。「解体新書」よりも先に正確な人体解剖書「解屍篇」をあらわした信任は、当時入手困難だった死体を、どこから手に入れたのか? 研究グループは、復元された古河藩の地図を手がかりに、推理をおしすすめていくうち、辻本の死体が井戸の中から発見された。
歴史推理と本格推理の融合をめざす乱歩賞作家・小林久三の意欲書下し長編。

「夕潮」日影丈吉
話者はうら若い人妻。結婚三年目、夫と伊豆七島へ。島は夫の家系には暗い思い出の地。彼の叔父は戦前そこで奇怪な死に方をした。二十年後、若い未亡人は歌人として評判になるが、世間を厭って依然姿をみせない。さて、島に行った話者を待ちうけていたのは何か? 推理小説の常識を破って、人間の謎に食入ってゆく日影丈吉のロマン・ノワール。

「幽霊組合員」香住春吾
オギャアと生まれてお気の毒にと終るのが人間の生涯です。だが、それでおしまいでは、なんとも切ないではありませんか。ましてや、その死が他殺であるとしたら…。
舞台は大阪の玩具問屋大村商会、遺産相続に目の色を変える遺族たちの醜い争いを、幽霊になった社長の大村修平が嘆き、怒り、幽霊組合員とともに事件を追及して行きます。
人間界と幽霊界をつないで、連続殺人事件を変った角度から、ユーモラスに眺め、幽霊の生態をたのしく描いた香住春吾の新作長編コミック・ミステリ。

「さびしい死神」栗本薫
孤独な老婆、ヒマな社長、ゲイボーイ、マネキン泥棒−その奇妙なかなしみを乗せてデパートのエレベーターは上下しつづける。ガラスとアスファルトの都会のまんなかで、まきおこる奇妙な事件。立ちむかうのは銀座署の名物七人男、一本ネジのはずれたおかしな刑事たち。乱歩賞作家・栗本薫が贈る日本版「87分署」の世界。(銀座署シリーズ・第一作)

「銀河のチェス・ゲーム」李家豊
時は37世紀。人類統一政体は汎恒星連合と称され、スピカ系第四惑星アタラシアに首都が置かれていた。その宇宙港に地球から一人の少年が下りた。少年の名はリューク。最高幹部会議に招かれたこの超能力者を待っているのは? 広大無限の銀河を舞台にくりひろげられる、SF界の新星・李家豊の雄大なスペース・オペラ。(超戦士シリーズ・第一作)

「偶という名の惨劇」竹本健治
深雪に鎖された旧家に迷いこんだ芳裕と千尋が見たのは、謎に包まれた密室殺人事件。日記帳に書かれた不思議な記述。羅刹天像の予告による殺人と奇妙な古代文字との関係は? そして第二の密室のなかで黒猫の見たものは? 千二百枚の処女長編「匣の中の失楽」で本格探偵小説の復権をなしとげた新鋭・竹本健治の第二長編。

「影深き朝に」筑波孔一郎
一枚のあどけない笑顔をした赤ん坊の写真の背後に隠された差出人の黒い意思。事件は過去の幼児誘拐につながり、密室で死んだ看護婦、自殺したコールガール、美貌の人妻らを巻き込んで二転三転する。この重層的にからんだ謎を解明するのが、御存知蓬田専介&木島逸平の探偵コンビ。進境著しい筑波孔一郎の書下し長編第四弾。(蓬田専介&木島逸平シリーズ・第四作)


「幻影城評論研究叢書」未刊行リスト


「捕物帳の系譜」
武蔵野次郎
江戸の風物詩であるわが国独自の捕物帳を、創始者・岡本綺堂から笹沢左保の地獄の辰まで、著者独自の史観で、半七捕物帳、釘抜藤吉捕物覚書、右門捕物帳、銭形平次捕物控、人形佐七捕物帳、顎十郎捕物帳、若さま侍捕物帳、捕物蕎麦屋、瓢庵先生捕物帳、なめくじ長屋捕物さわぎなどの主人公を通じて展開される作家論。
探偵小説と時代小説の谷間に開花した捕物帳を始めて体系的に整理した書下評論500枚。(書下し長編評論)
●主な内容 序論/半七捕物帳/釘抜藤吉捕物覚書/右門捕物帳/銭形平次捕物控/人形佐七捕物帳/顎十郎捕物帳/若さま侍捕物帳/捕物蕎麦屋/瓢庵先生捕物帳/なめくじ長屋捕物さわぎ/地獄の辰捕物控

「日本SF作家論」栗本薫
SFは新しい世代の文学だ。SFとマンガで育ったこの世代の代表選手が、創生期の作家から最近の新人までを、自己の読書体験から、網羅的に論じた日本初のSF作家論集。(書下し長編評論)
●主な内容 序論/星新一論/小松左京論/光瀬龍論/平井和正論/田中光二論/半村良論/筒井康隆論/山田正紀論/かんべむさし論/横田順彌論/野田昌宏論/萩尾望都論/新人論(津山紘一、真城昭、式貴士、岸田理生)

「探偵小説の解剖学」寺田裕
戦前の探偵小説の是非を問いながら、昭和20年代に様々な光芒を描いて現れた作品を通じて、10年に渡る大いなるタプラ・ラサ(白紙)を昭和文学史に位置づけた本格長編評論。(書下し長編評論)
●主な内容 飛鳥高/鮎川哲也/江戸川乱歩/大下宇陀児/大坪砂男/岡田鯱彦/香山滋/木々高太郎/楠田匡介/坂口安吾/島久平/島田一男/高木彬光/土屋隆夫/角田喜久雄/永瀬三吾/日影丈吉/水谷準/宮野村子/宮原龍雄/山田風太郎/山村正夫/横溝正史/渡辺啓助/他

「探偵作家尋訪記」鮎川哲也
孤高な作家・鮎川哲也が、風の便りに、かつては探偵文壇に足跡を残しながら、現在では忘れられ、消息も不明な作家や遺族を、捜し出して、往年の創作事情などを聞き明かす。
●主な内容 I 地味井平造/水上呂理/瀬下耽/本田緒生/芝山倉平/岡戸武平/六郷一/葛山二郎/紗原砂一/埴輪史郎/南沢十七/米田三星 II 大阪圭吉/西尾正/妹尾アキ夫/吉野賛十/北洋/橋本五郎

「幻想の視覚」友成純一
ここにある12の作家論は、同時に幻想論でもある。探偵小説家の枠にはまり切れなかった彼らを知るためには、想像力の生む幻想そのものに目を向ける必要があるだろう。(書下し長編評論)
●主な内容 序論/国枝史郎論/大坪砂男論/松永延造論/久生十蘭論/渡辺啓助論/香山滋論/城昌幸論/海野十三論/村山槐多論/夢野久作論/小栗虫太郎論/稲垣足穂論/結論

「日本本格推理作家の系譜」津井手郁輝
江戸川乱歩から泡坂妻夫に至る14名の本格派の意匠ととりあげ、作中登場人物・プロット・動機・トリック等を掘下げながら犯罪と謎と論理の織りなすこれらの作家の世界を語る。
●目次 夢と幻影の城主=江戸川乱歩論/科学に徹する本格派の鬼=甲賀三郎論/法の限界に向ける懐疑の眼=浜尾四郎論/大自然の中の無惨絵=蒼井雄論/怪奇と戦慄の創造者=角田喜久雄論/堕ちて道化て推理して=坂口安吾論 妖美ロマンの語り人=横溝正史論 トリックと論理の名コンダクター=鮎川哲也論 静かなる均衡と安定=土屋隆夫論 メルヘンのうちなる恐怖=仁木悦子論 “いき”をきめる論理の先達=都筑道夫論 孤独と抒情の本格的興味=笹沢左保論 論理を遊ぶトリックスター=泡坂妻夫論


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