役所が泣いた!主演賞へ絶賛の嵐
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上映を終え笑顔で手を振る(左から)青山真治監督、宮崎あおい、役所広司(AP)
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「第53回カンヌ国際映画祭」のコンペティション部門に出品された俳優・役所広司(44)主演の映画「EUREKA(ユリイカ)」(監督青山真治)が18日午前(現地時間)メーン会場のパレ内で公式上映を迎えた。コンペで最長の作品となったが、会場では席を立つ人もほとんどなく、スタンディング・オベーションで祝福。 日本人初の主演賞を狙う役所も「最後まで見てくれたことに感動した」と瞳を潤ませていた。
カンヌの常連・役所が、念願の主演男優賞へ向けて好発進した。コンペ出品23作品中、最長の3時間37分の大作「ユリイカ」。映画祭史上でも異例の長編のため、通常の作品がプレス試写を含めて数回上映される中、公式上映1回限りの上映。加えて午前9時スタートの悪条件にもかかわらず、劇場は世界各国のマスコミ、一般ファンで満員に膨れ上がった。
出品の際、映画祭事務局から「もう少し時間を短くすれば、なおいい」とのアドバイスを受けていたが、プロデューサーの仙頭武則氏(38)は「そのままでいく」と当初の長さでの上映を敢行。 作品への自信に裏打ちされた選択は、最悪の上映状況をも見事に覆した。エンドロールが流れると同時に会場中がスタンディング・オベーションで絶賛。シビアな反応で知られるマスコミ陣からもわき起こった拍手は、ともに観賞した審査委員長のフランス人監督リュック・ベッソン(41)の耳に確かに届けられた。
97年のパルム・ドール(グランプリ)受賞作「うなぎ」(監督今村昌平)昨年の監督週間に出品された「カリスマ」(監督黒沢清)に続くカンヌ参加となった役所。特に思い入れが強い今作ではひそかに主演賞を狙っていると伝えられており、終映後の熱烈な祝福に瞳を真っ赤にして感激。「非常に温かい拍手だった」と歴史的快挙へ一歩を踏みだした手応えに酔いしれた。(油田 貴子特派員)
<乗っ取り被害者気遣う>「ユリイカ」はバスジャック事件に遭遇し、偶然生き残った運転手と乗客の兄妹の再生を描いたストーリー。九州が舞台で、バス会社も西鉄バスに設定されている。先のバスジャック事件との酷似ぶりに役所も「我々の映画に協力してくれたバス会社ですし、非常に驚いた」と衝撃を表した。バス運転手を演じた役所は「解決後も(被害者が)どれだけ心に傷を負っているかが心配。傷ついた人が周りの人と協力して癒していくことができるよう祈っている」と話していた。
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