(CNN) ブッシュ米大統領は10日の演説で、イラク駐留米軍の部分撤退が今年7月に一段落した後、追加撤退については保留期間を置き、情勢をみて判断するとの方針を発表した。駐留米軍のペトレイアス司令官が8日、議会公聴会で示した立場を支持する内容。大統領は一方で、兵士の駐留期間を15カ月から12カ月に短縮する考えを明らかにした。
ペトレイアス司令官は、上院軍事委員会での証言で、昨年増派された戦闘部隊を7月までに撤退させ、駐留規模を14万人まで削減したところで、45日間の保留期間を設けることを提案。その後の撤退再開については、現地の情勢次第との立場を示していた。ブッシュ大統領は演説で、同司令官に「必要なだけ時間を与える」と述べ、この案を受け入れる意向を明らかにした。
一方、増派戦略を維持するため07年4月に15カ月まで延長されていた駐留期間については、今年8月以降に派遣される兵士に限り、元通りの12カ月に戻す方針を示した。
7月以降の撤退計画をめぐっては、ゲーツ国防長官が9日の公聴会で、「保留期間の検討が長引くことはないだろう」と述べ、秋には追加撤退が始まるとの見通しを示していた。大統領の演説を受け、上院民主党からは「ペトレイアス司令官の無期限案とゲーツ長官の早期再開案が食い違い、大統領は前者を選んだ」「大統領には来年1月の任期切れという期限がある。駐留軍の兵士たちにも期限が必要だ」など、批判の声が上がっている。