ひょうご防災新聞  Disaster file U

79.熱中症対策

(2008/08/04)
続く猛暑、備え万全に
 連日の猛暑が影響し、熱中症患者が急増している。神戸市内で搬送された患者は7月の1カ月間で130人に達し、梅雨明けが遅れた前年同月(32人)の約4倍となった。

 神戸海洋気象台によると同月、三〇度を超える「真夏日」になったのは神戸で二十四日(前年同期七日)。豊岡では三五度を超える「猛暑日」が七日(前年同期なし)あった。

  神戸市消防局のまとめでは、患者のうち半分近い六十一人が六十五歳以上の高齢者。高齢者は暑さへの抵抗力が衰えているため、室内でも熱中症になるケースが多く、「熱中症患者情報ネットワーク」がまとめた昨年の発症場所は、高齢者の場合は54%が自宅だった。

  気象庁は八月も全国的に気温が平年より高くなると予測しており、関係機関は引き続き熱中症への注意を呼びかけている。

(岸本達也)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


大地の科学 觜本 格

玄武岩と花崗岩 兵庫県に深いゆかり

玄武岩の名前の由来になった豊岡市の玄武洞

 地球の中心は金属でできた核、その外側はカンラン岩のマントル、一番表面が地殻です。地殻は玄武岩と花崗(かこう)岩からできています。海洋の地殻は厚さ約七キロで玄武岩でできています。大陸の地殻は厚さ三十キロで花崗岩でできています。

  太陽系の水星、金星、地球、火星は内側が金属、外側が岩石でできている「地球型惑星」です。この中で花崗岩があるのは地球だけです。金星、火星、月は玄武岩でできています。玄武岩は太陽系を代表する岩石で、花崗岩は「地球らしさ」を表す岩石といえるでしょう。

  太陽系や地球の成り立ちを語る二つの岩石の名前は、ともに兵庫県内の地名に由来します。

  玄武岩は、百六十五万年前に噴出した溶岩流でできた洞窟(どうくつ)「玄武洞」(豊岡市)にちなんだ名です。溶岩が冷え固まる時に規則正しい割れ目「節理」ができますが、玄武洞の六角形の柱状の節理は見事です。玄武洞はこの石の採石跡です。現地には他に「青龍洞」「白虎洞」「南朱雀洞」「北朱雀洞」がありますが、いずれも玄武岩でできています。玄武岩は黒っぽく緻密(ちみつ)な岩石なので、「玄(くろ)」を類推したのでしょう。

  一方、花崗岩は石材としての名前を「御影石」といいます。神戸の市街地の北側に連なる六甲山地は花崗岩でできています。この花崗岩は美しく加工しやすい石材として昔から利用されてきました。それを石材として運び出し、船積みしたのが「御影の浜」でした。

  花崗岩を「ミカゲ石」と呼ぶのはこの地名に由来します。「御影村」は石屋川河口東側の浜辺の村で、現在の国道2号沿いの御影石町。石屋川沿いには石工がいました。現在の住吉山手台の荒神(こうじん)山には石切り場の跡もあります。

  花崗岩の英名granite(グラニット)は粒状の石の意味で、砂糖のグラニュー糖と同じ語源です。六甲山地の「本ミカゲ」は、桃色のカリ長石と深緑色の黒雲母の配色が花のように美しいのが特色です。「崗」は「盛り上がった山の背」のことですから、六甲山地のような山を造っていることを示しています。

(はしもと いたる・神戸市立飛松中学校教諭)

 
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