「歯」の話題
(掲載日:2003/12/01)
冬の歯の大敵「知覚過敏症」 
 「最近冷たい物が歯にしみる」「しみるところの歯茎がやせたみたい」―。こんな症状がある人は、「知覚過敏症」が疑われる。冷たい空気に触れただけでも痛みを感じる人がおり、この季節に症状が出やすい病気だ。個人差はあるものの、中高年から多く見られるため、歯科医は「半年に一度は定期検診を」と呼びかけている。(竹内 章)

歯肉やせ象牙質が露出/乱暴な磨き方原因も

 歯は中心部に歯髄と呼ばれる神経があり、その周りを象牙(げ)質と呼ばれる組織が囲んでいる。象牙質の内部には、神経に刺激を伝える象牙細管があり、刺激を受けると痛みを感じる仕組みになっている。

 通常、見えている歯の部分は硬くて丈夫なエナメル質で、見えない根の部分は歯肉で覆われているため、健康な状態なら痛みを感じない。ところが何らかの原因で、象牙質がむき出しになると、歯の表面に無数に開口している象牙細管を通じ、普通では感じない刺激に対しても痛みを感じるようになる。

 「虫歯と違って、一過性の痛みが特徴。歯ブラシを歯にあてたとき、ピリッと感じることもあります」と河原悟・歯科医師(氷上郡山南町)は話す。

硬いブラシ避け

 「通常、加齢に従い歯肉はやせるが、歯周病などで大きく退縮してしまう中高年から症状を訴える人が増えます」

 ただむき出しになっても即痛みを感じるわけではない。歯の表面で象牙質を作り出す再石灰化が繰り返されるので、すぐには知覚過敏症にならず、自然治癒する人もいる。しかし再石灰化のスピードが遅いと、象牙質は次第に削られ、歯の根本がくさび状にえぐられていく。この状態になると、冷たいものを飲んだりすると痛みが走る。症状が進むと、熱い物にも痛みを感じるようになる。神経が炎症を起こしている可能性が高く、痛みがひどくなると、神経を抜くこともある。

 「男性の場合、乱暴な歯ブラシの使用が原因のケースもある。歯を磨いているつもりが象牙質を削っているわけです」

 硬い歯ブラシは避けて、歯磨き粉は少々。ペンを持つ握りで、円を描くように細かく横に振動させるのがコツだ。

早期なら完治

 軽い症状なら、刺激を防ぐ鈍麻剤を塗ったり、レーザー照射を一回するだけで治ることもある。象牙細管を埋めたり、象牙質が露出している歯根面をコーティングしたり、くさび状のえぐれが深い場合は充填(てん)剤で修復するなど、症状に応じた治療法がある。数分程度で済むことが多く、どの処置も歯を削るなど苦痛を伴う治療ではない。

 歯周病が原因の知覚過敏症の場合、まず歯周病をコントロールすることが不可欠だ。

 「歯周病はかなり進行するまで痛みを伴いません。知覚過敏の患者さんを調べてみたら深刻な歯周病だったというケースもあります。そのためにも定期的に歯科を受診、お口のケアをすることが大切」とアドバイスしている。

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