ひょうご防災新聞  Disaster file

65.暖房器具

(2007/12/16)
換気、定期点検忘れずに/火災 CO中毒に注意を

 朝晩の冷え込みが厳しくなるこの季節に、暖房器具は欠かせない。しかし、使い方を誤ると、火災や有害な一酸化炭素(CO)を発生する不完全燃焼を起こしかねず、命にかかわることもある。石油ストーブや石油ファンヒーターについて、使用上の注意点、掃除の方法などをまとめた。

 総務省消防庁によると昨年、放火、放火の疑いを除く原因による住宅火災で、全国で千百三十人が亡くなった。出火原因は、たばこ(二百二十六人)に続き、ストーブ(百七十四人)が二番目に多く、全体の15・3%を占めた。

 また、兵庫県消費者団体連絡協議会が昨年十二月―今年二月、県内の消費者にアンケートした結果、二千七十二人の回答中、生活用品の使用中に事故に遭ったり、危険を感じたりした事例は二百六件あった。うち、石油暖房機器でやけどをしたり、石油暖房機器が火を噴いたりした事例が十七件あり、鍋類をつかんでやけどを負うなどした十八件に次いで多かった。

 石油ストーブが原因となった火災で多いのは、近くで干していた洗濯物やカーテン、雑誌などの可燃物に引火したケースだ。洗濯物は乾くと軽くなる上、対流熱による上昇気流で落ちやすくなる。

 スプレー缶をストーブの上や温風の当たる所に置くと、破裂する恐れがある。石油ファンヒーターの場合、シリコーン配合のヘアスプレーなどを使うと、「フレームロッド」と呼ばれる燃焼の見張り機能に付着し、点火ミスや途中消火が起こる。

 一方、石油ストーブや石油ファンヒーターが不完全燃焼を起こすと一酸化炭素が発生し、最悪の場合、死に至る中毒症状を引き起こす。使用中は一時間に一、二回は窓を開け、換気することを心掛けたい。嫌なにおいがしたり、炎の色にむらがあったりすれば、メーカーや販売店での点検が必要となる。

 こまめな掃除は事故を防ぐとともに、器具を長持ちさせる。石油ストーブは月に一、二回、反射板の汚れを布でふき、燃焼筒の周囲の汚れをブラシなどで取り除く。石油ファンヒーターなら週に一度、温風空気取り入れ口、燃焼空気取り入れ口のフィルターに付いたほこりを取り除く。

 灯油にも注意が必要だ。県立生活科学研究所のテストでは、紫外線を通しにくい青色のポリ容器で密封していても、屋外に置けば百四十日間で変質した。家庭では、コップに入れて色を水と比較し、少しでも色が付いていたら使ってはならない。給油の際は必ず消火し、給油後はキャップを確実に閉め、周囲に灯油がこぼれていないかを点検する。同研究所は「変質灯油を使うと、異常燃焼や故障の原因になる。昨シーズンのものは使わないで」と呼び掛ける。

【Q】「噴火警報」とは?

【A】全国108の活火山を対象に、気象庁が12月1日から導入した。火山周辺の居住地域に危険が及びそうな場合は「噴火警報」、火口周辺から居住地域の近くに危険が及びそうな場合は「火口周辺警報」が出される。火山活動が静穏で特別な警戒が必要ない場合は「噴火予報」が出される。

 さらに浅間山、富士山、阿蘇山など16の火山については、住民らのとるべき行動を5段階で示す「噴火警戒レベル」も導入。レベル5が「避難」、4が「避難準備」で、ともに噴火警報に相当する。レベル3は「入山規制」、2は「火口周辺規制」で、ともに火口周辺警報に相当。レベル1は「平常」で、噴火予報に当たる。

(記事は社会部の石崎勝伸、森 信弘が担当しました。)


災害の記憶  兵庫県香美町村岡区 古家学さん(四七)

平成18年豪雪  雪下ろし30時間、基金も枯渇

 二〇〇五年末から〇六年年明けにかけて大雪が降り、全国で死者も出た「平成十八年豪雪」。一九六三(昭和三十八)年の「三八豪雪」以来となる気象庁命名の雪害だった。

 地元の建築業者でつくる村岡建築業組合は、冬季に住民の依頼を受け民家の屋根の雪下ろしをしている。あの年の雪は、すごい速さで一気に降り積もっていった。多い時は平野部でも二メートル、山間部では三メートル近い積雪。雪下ろしの最中に、三十センチ、六十センチと雪が深くなっていくのが分かった。

 未明の午前三時から重機で道路を除雪し、夜が明ければ民家の雪下ろしへ向かう。はしごを使って屋根に上ると、冷たい雪の中に体が腰の上まで沈んだ。スコップなどを使って雪の塊をかき出すが、ずしりと重い。交代しながら、一軒で計三十時間近く作業が続くこともあった。

 作業の依頼は連日殺到し、夜、事務所に戻ると派遣要請のファクス用紙が二十枚近くたまっていた。仲間の業者は疲れ果て、派遣を受ける民家も順番待ちの状態になった。当時、組合が積み立てた基金から最大半額を助成する有償ボランティアにも取り組んでいたが、〇六年の年明け早々、基金は底を突いた。結局、依頼件数は例年の九倍近くに上った。

 雪下ろしを依頼してくる人は、多くが一人暮らしや寝たきりのお年寄り。屋根の上での危険な作業はさせられないし、「雪の重みで家がミシミシと音を立ててる」なんて声を聞くと、作業を休む訳にはいかなかった。実際に雪の重さで屋根の一部が壊れる家もあり、雪の怖さをあらためて目の当たりにした。

 自分の家は自分で守るのが原則だが、雪はいつ降るか分からないし、いざ大雪になると一刻を争う。地元だけでの対応には限界も感じた。周辺地域からの応援体制をつくることが必要ではないか。しかし、それには事前に応援メンバーが雪下ろしのノウハウを学んでおかねばならず、なかなか実現しないのが実情だ。

(聞き手・岩崎昂志)

 
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