ひょうご防災新聞  Disaster file U

76.播磨の中山間地、臨海部の工場は

(2008/06/16)
21集落孤立、危険物漏れも
 播磨を中心に延びる活断層「山崎断層帯主部」。すべてが動いた場合の大地震で中山間地の集落、臨海部の石油コンビナートはどうなるのか。政府の中央防災会議の被害想定を紹介する。

 山崎断層帯主部(三木市―岡山県美作市)は総延長約八十キロに及ぶ。同調査会は昨年、マグニチュード(M)8・0の地震が起きた―との想定で、死者数や建物被害を予測。さらに今年五月、集落の孤立化や石油コンビナートの被害について公表した。

 地震による土砂崩れで山間部の集落が孤立する事態は、岩手・宮城内陸地震や中国・四川大地震でも目立ち、被災者の救援が遅れる要因になった。山崎断層帯主部の地震では、兵庫県内で七市町の二十一集落、計千六十八戸が、道路の寸断や橋の崩落で孤立する可能性がある、と指摘した。しかも、県が二十一集落の現状を調べた結果、避難施設、物資、情報通信手段の確保などの対策は、ほとんど進んでいなかった。

 一方、姫路市など三市一町の石油コンビナート地区では約三百施設が破損、約三十のタンクなどから危険物が漏れる。同調査会は「工場隣接地域は人口が密集し、想定できない事態が起きる恐れもある」と警鐘を鳴らす。

(石崎勝伸)



「守ろう」わがまち

神戸市灘消防団  女性団員が活躍、放水も

応急手当を実演する女性団員=5月16日、神戸市中央区の「人と防災未来センター」

 火災や自然災害が発生したとき、消防隊員の活動を後方から支援するのが地元の消防団だ。日ごろはそれぞれの仕事に就きながら、日々の訓練で「いざ」に備える。

 神戸市灘区全域をエリアとする灘消防団は、戦後間もなく発足し、現在、八分団に総勢百三十五人の団員がいる。

 阪神・淡路大震災では消火活動、地域巡回と激務が続き、団員一人が過労で倒れ、亡くなったという。

 同消防団の特徴は、女性団員の活発な活動。団員の約一割にあたる十四人が女性で、新人一人を除く十三人が救急インストラクターの資格を持ち、地域で応急手当の指導などにあたる。

 「消防団員のなり手が減る今、女性団員の活躍が男性の奮起につながってほしい」と伊藤真彦団長(63)。救急指導にとどまらず、訓練では男性と同様に大きな声を出し、小型ポンプを動かして放水活動する。

 「進化する消防団」を掲げ、独自に「ポンプ操法インストラクター」の資格も創設した。伊藤団長は「大震災で地域から逃げることはできない、と知った。地域のために何ができるかを自ら考え、行動する組織にしていきたい」と力を込める。

(岸本達也)

【Q】竜巻から身を守るには?

【A】空が急に暗くなる▽大粒のひょうが降る▽雲の底の部分から地上に漏斗(じょうご)状の雲がのびる▽飛散物が筒状になって舞い上がる―などの現象があれば危険だ。室内では地下や1階に行き、建物中心部の窓のない部屋へ避難。屋外にいれば、しっかりした建物に逃げ込むか、近くの水路やくぼみなどに身を伏せる。竜巻の発生原因はよく分かっていないが、台風や低気圧、前線の付近などで積乱雲が生じると起きやすくなる。

 
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