ニュース 速報 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

共生

安心事典

本文です

非正規労働者の加入条件を緩和

 政府は先月、雇用保険法の改正案を国会に提出しました。非正規雇用の人たちを加入しやすくするほか、期間満了時に雇用契約を更新されない「雇い止め」になった場合、失業手当(基本手当)を手厚くすることなどが盛り込まれています。

 雇用保険の柱は、失業後に支給される失業手当です。2008年12月には約59万人が受給しています。これ以外にも、育児休業給付、教育訓練給付などがあります。

 週40時間以上働く人は無条件で加入できますが、週20時間以上40時間未満の場合、雇用見込みが1年以上あることが条件になります。労働時間が週20時間未満の人は加入できません。公務員、会社役員なども対象外です。

 厚生労働省の試算(07年)では、雇用されて働く5561万人中、雇用保険の加入者は3685万人。公務員などを除き、労働時間や雇用見込みの関係で加入できない人は1006万人に上ります。この中には、雇用が不安定な非正規労働者が多く含まれています。

 改正案では、非正規労働者に多い週20時間以上40時間未満働く場合について、雇用見込みを現行の「1年以上」から「6か月以上」に短縮します。これにより加入者が148万人増える見込みです。

 また、失業手当をもらう際、現在は、自己都合で辞めた場合は1年以上加入期間がなければ受け取れません。手当を受け取るまでに3か月の給付制限期間もあります。一方、解雇や倒産など会社都合で辞めた場合は、加入期間が6か月以上あれば受給できます。給付制限もなく、受給期間もおおむね長くなっています。

 最近の景気悪化で、契約期間が満了した非正規労働者が、契約更新を拒否される雇い止めの問題が深刻化しています。この場合、更新について事前に労使で取り決めがなければ、自己都合の場合と同様に、手当をもらうには1年以上の加入期間が必要になります。

 改正案では、希望に反して雇い止めとなった場合は、会社都合の場合と同様、加入期間が6か月あれば受給でき、受給期間も暫定的に手厚くするとしています。

 同法については、民主党も対案を提出する予定です。現在、雇用者の3分の1は非正規労働者です。失業という危機に対し、誰にとっても頼れる制度に変えていくことが求められます。(小山孝)

2009年2月26日  読売新聞)
現在位置は
です