凄い！「おくりびと」がオスカー獲得　

米アカデミー賞の外国語映画賞を受賞した「おくりびと」の（左から）滝田洋二郎監督と本木雅弘、余貴美子、広末涼子＝ロサンゼルス（ＡＰ＝共同）

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　映画の祭典、第８１回米アカデミー賞の授賞式が現地時間２２日（日本時間２３日）、米ロサンゼルスのコダックシアターで開かれ、「おくりびと」が日本映画として初めて外国語映画賞を受賞した。主演の本木雅弘（４３）が、滝田洋二郎監督（５３）、広末涼子（２８）らと受賞ステージに立ち、オスカー像を手にした。日本作品ではさらに、「つみきのいえ」が短編アニメ映画賞に輝き、日本作品がＷ受賞を果たした。

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　「納棺師」に焦点をあてた地味な作品が、日本映画の新たな扉を開く大きな快挙を達成した。

　「『Ｄｅｐａｒｔｕｒｅｓ』Ｊａｐａｎ！」と発表された瞬間、タキシード姿の本木は、あまりの驚きに、思わず頭を抱えた。そして滝田監督に促され、一緒にステージに。ロングドレスを着た広末、余貴美子（５２）も続いた。通常は、受賞ステージは監督１人のみが上がる。だが、興奮を抑えきれなかった。晴れの舞台で喜びを分かち合った。

　滝田監督は英語でスピーチした。「映画があるから私はここにいる。これは私にとって新たな旅立ち（Ｄｅｐａｒｔｕｒｅ）です。我々はまた戻ってきます」。黄金のオスカー像を高らかに掲げると、客席のハリウッドスターたちも温かい拍手を送った。広末はステージからの景色を「絶景だった」と振り返った。

　日本映画ではこれまで、前身の名誉賞を１９５２年の「羅生門」（黒澤明監督）など３作品が受賞したが、１９５７年に外国語映画賞となってからは初めての戴冠。１９５６年に稲垣浩監督の「宮本武蔵」が受賞して以来５３年ぶりとなる。

　これまで１２作品が本選にノミネートされていた。日本映画の受賞としては０３年の「千と千尋の神隠し」が長編アニメ賞を受賞して以来の６年ぶりとなる。

　下馬評は低かった。候補５作品ではイスラエル作品がダントツ人気。「おくりびと」は、フランス作品と並ぶ２番手グループだった。しかし、前日のシンポジウムでの上映では、会場を笑いが包むなど受賞機運が高まっていた。「イスラエルの作品が獲ると思ってた。こんなことなら、もっと堂々とレッドカーペット歩けばよかった」と本木。無欲の結果だった。

　生と死、家族のきずなという普遍的なテーマを、日本文化の美を通して描いたことが高く評価された。失業したチェロ奏者が故郷・山形に帰り、ひょんなことから納棺師となる物語。本木が９３年にインド旅行中に納棺の儀式を目にして着想、自ら映画化へ尽力した。

　会見で本木は「作品にかかわったすべての方の思いが結晶した」と力を込めた。この日、関係者５０人以上の“チームおくりびと”が授賞式会場の隣接ホテルで待機した。授賞式後には、スタッフ１人１人がオスカー像を手に記念撮影を行った。

　滝田監督は「映画は言葉を、国を超える」と語った。すでに世界３６カ国での公開が決定しており、５月には全米公開も控えるが、上映規模の拡大は必至。日本の「おくりびと」は、世界に感動を「おくる」作品になった。

（デイリースポーツ提供）