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落語体験講座を通じて心の交流

 日本芸能実演家団体協議会(略称・芸団協)が落語芸術協会(=芸協。桂米丸会長)の全面的協力を得て実施している悠遊講座「落語体験入門」の第9期“花伝亭発表会”が11日昼夜、東京・西新宿にある芸能花伝舎で賑やかに行われた。

 芸能花伝舎とは旧淀橋第3小学校跡を新宿区と芸団協が文化発信基地として新たに活性化利用。その総体に名付けられた冠称で、旧校舎内部には芸団協の一部や劇団、芸協などの事務局、事務所などもあり、また旧校舎施設は同時に幾つもの稽古場として多くの劇団などに利用されている。

 「落語体験講座」は芸団協と芸協及び新宿区が協力して実施しているもので、筆者は一応、その監修・構成を仰せつかっていることもあって可能な限り講座に立ち会うことにしている。既に9期目なのだが、毎期、新しい受講者が増えると同時に継続受講者も多いので、今期は昼夜それぞれ約30人、計60人のアマチュア落語家が(受講生)が3教室に分かれて実演発表するという形になった。

 講師陣は三遊亭遊之介、桂小南治、三遊亭遊雀、桂右団治(女流)、三遊亭円馬、橘ノ円満らで、受講期間中に扇子、手拭いの使い方から着物の着方まで指導しながら、実際に落語を演じ、体得していく形でより落語を身近に感じ楽しみ、同時に生活の中の1つの歓びとして人間関係や会話の円滑化などにも役立っていけば……という結構欲張りな企画なのだが、折りからの“落語ブームのようなもの”もあって、開講以来、常に大盛況といったところ。

 受講者たちは全員“花伝亭”の亭号が冠せられ、下の高座名は自分で考えて名乗る。サラリーマンから主婦、年金生活者や学校の先生、自営業、小学生、俳優などいろいろな人たちが受講しており、実技を通して“友だちの輪”も広がり、今では継続組(中級コース)が半数以上。この日の発表会では各教室に初級から中級までが割り振られて切磋琢磨、熱演続きだった。家族や友人たちも無料で発表会を見学できるシステムなので、毎期の発表会ごとに盛況さも増していく。

 ちなみに1階第1教室で行われた昼夜の発表の出演者の高座名と演目は次の通り。(上に“花伝亭”がつく)

 ▽昼の部 与太美「牛ほめ」、おたく「真田小僧」、とんぼ「ろくろっ首」、木凛「親子酒」〜仲入り(休憩)〜みじん娘「たらちね」、くう朝「豆や」、ふわり「子ほめ」、天歩「掛け取り」

 ▽夜の部 妖怪「寿限無」、うどん「化物使い」、猫じゃらし「子ほめ」、みかん「真田小僧」〜これより中級〜雄重「道具や」、笹かま「小言念仏」〜仲入り〜マーガレット「藪入り」、つね奴「堀の内」、小ゆう「時そば」

 初級は課題演目から選ぶが、中級からは自分で演目を決めるので、内容も幅広い。まず楽しむことを原点に、登場人物のキャラクターや場面の情景活写を心掛けての熱演で、観ていて楽しい。

 世界的な不況が言われ始め、一方では以前からのオタク・ブームなども続く中、体験講座がコミュニケーションにも大きく役立っていることを感じる。学校や会社という“くくり”の中では、実は極めて意思の疎通が図りにくくなっていることなども講座盛況の一因となっているのではないだろうかなどとも思った。講座は来年から第10期に入る。

[ 2008年12月12日 03:34]

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