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探偵小説専門誌「幻影城」とは?


幻影城マーク


1970年代後半に「幻影城(げんえいじょう)という雑誌がありました。
江戸川乱歩が著した同名の評論集がありますが、「幻影城」はその評論集から名前を拝借した探偵小説専門誌です。
「探偵小説」という名は既に松本清張仁木悦子の作品から端を発する「推理小説」によって駆逐されていましたが、当時は江戸川乱歩や横溝正史ブームが巻き起こり、「探偵小説」という名称も注目を浴びつつありました。探偵小説専門誌「幻影城」は、編集人である島崎博が持つ膨大な探偵文献を元にして、忘れ去られた往時の名作を復刻することを目的に創刊され、ブームの一翼を担っていました。
「幻影城」は「株式会社幻影城」より、1975年から1979年に渡って、53号まで発行されました(13号までは「絃映社」より発行)が、最後は倒産の憂き目にあい、発行人・編集人の島崎博は故郷の台湾に戻ったと伝えられています。
評論・研究の面でも実績があり、権田萬治山村正夫はそれぞれ、この雑誌の連載(「日本探偵作家論」と「わが懐旧的探偵作家論」)で日本推理作家協会賞の評論部門を、二上洋一は「少年小説の系譜」で日本児童文学学会奨励賞を受賞しています。
探偵小説の復活を旗印に、新人の発掘にも乗り出し、評論部門を受賞して世に出た栗本薫は「ぼくらの世界」で江戸川乱歩賞を受賞します。直木賞を「陰桔梗」で受賞することになる泡坂妻夫も、「恋文」で受賞する連城三紀彦も「幻影城」出身の作家です。のちに「銀河英雄伝説」を発表し、ブームを巻き起こす田中芳樹も、李家豊の名でこの雑誌からデビューしています。竹本健治のデビュー作である「匣の中の失楽」は、1,200枚もの大部で、当時、「幻影城」以外で発表することが不可能な作品といわれました。
江戸川乱歩をはじめ、数々の探偵小説作家がデビューした「新青年」や、戦後、いちはやく創刊され、横溝正史をはじめ、多くの作家が活躍した「宝石」といった雑誌は数々の収穫により、今に至るまで紹介が盛んですが、「幻影城」も長く記憶されるべき雑誌だと思います。


探偵小説専門誌「幻影城」目次リスト

「別冊幻影城」目次リスト

「幻影城ノベルス」「幻影城評論研究叢書」目次リスト

未刊行物リスト


探偵小説専門誌「幻影城」作者別索引

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区分は角川書店の「甦る「幻影城」II」の巻末に収録されている作者別索引の記号を踏襲した。
☆はエッセイ、評論。★は対談、座談。
◆はアンケート。●は「幻影城」サロンの読者投稿。
それ以外は小説である。※は再録を示す。


「幻影城」掲載広告リスト

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廃刊後にまとめられた「幻影城」アンロソジー

甦る「幻影城」IIIIII<カドカワ・エンタテインメント>
「幻影城」不朽の名作<角川ホラー文庫>